クルマのヘッドライトの保護やドレスアップを目的にフィルムを貼るオーナーは少なくありません。しかし、フィルムの特性を理解していないとくすみや黄ばみが進み、美観を大きく損なうことになります。それだけにとどまらず、車検で不合格になる可能性も高くなります。本記事では、ヘッドライトフィルムが車検にもたらす影響や検査基準、不合格になった際の対処法などを解説します。

ヘッドライトフィルムは車検で問題になる？

ヘッドライトにフィルムを貼っていると「車検に通るのか？」と不安になる方は多いでしょう。車検では主にロービーム時の光量や光軸、そしてエルボー点の位置までチェックされます。フィルムがこれらに影響すると不合格になることもあるため、まずはどの検査基準でチェックされるのかを理解しておくことが重要です。

車検で重要になるエルボー点とカットオフライン

ヘッドライトフィルムを貼る際に注意すべきなのが、ロービームの「エルボー点」と「カットオフライン」です。エルボー点とは、ロービームを壁に照射した際に現れる“光の折れ曲がり部分”の最下点を指します。ロービームは対向車の目をくらまさないよう、上方向を照らす光がカットされています。このカットされた部分と照射部分の境界線がカットオフラインにあたります。

エルボー点の位置が規定からズレていたり、カットオフラインがぼやけていたりすると車検に通らない可能性が高くなります。一部のフィルムは光の屈折率を変えてしまうため、光の境界線がにじみ、基準値から外れることも少なくありません。

したがって、透明タイプのフィルムでも、光を歪ませないプロテクションフィルムを選ぶことが重要です。たとえば XPEL「アルティメットプラス」は透明度が高く、貼っても見た目や光の出方に違和感が出にくい点が評価されています。

車検で求められる光量と光軸の基準

車検ではロービームの光量と光軸もチェックされます。光量は 6,400カンデラ以上 が求められます。光軸とはライトが照らす方向のことで、前方を照らした際にエルボー点が規定位置に収まっているか、対向車を眩惑しない角度かどうかが確認されます。

ライトをHIDやLEDに交換していて明るさが十分だったとしても、光軸がズレていると車検には通りません。フィルム施工により光量が低下したり光軸が乱れたりするケースもあるため、施工後にチェックするようにしましょう。

ヘッドライトの発光色と色温度の規定

車検はヘッドライトの光の色にも基準があり、発光色は 白色または淡黄色に限られています（平成18年1月1日以降に製作された車は白色のみが適合）。

発光色はケルビン（K）という色温度の単位で表され、一般的に3,000～6,000Kであれば自然な白色として認識されやすくなります。しかし、7,000Kを超えると青みが強くなり、紫がかった色味に見えることから不合格になるリスクが高まります。

車検で不適合になりやすいヘッドライトフィルムの種類

ヘッドライトフィルムには、透明タイプからスモークタイプ、カラータイプまで多くの種類があります。しかし、どれでも自由に貼れるわけではありません。光量が落ちたり、発光色が変わったり、光軸が乱れたりすると車検で不合格となるおそれがあります。ここでは、車検に通りにくいフィルムについて解説します。

光量不足を引き起こすスモークフィルム

スモークフィルムは光の透過率が下がるので、光量が基準値を下回りやすくなります。色が濃いほど光量は減少するため、黒・グレーはもちろん、青系のフィルムでも要注意です。もし、可視光線透過率の基準値をクリアしていたとしても、ディーラーによっては、安全上の理由から「車検前には剥がしてほしい」と要請されるケースもあります。

発光色を変えるカラーフィルム

ヘッドライトに色付きのフィルムを貼ると、発光色が変化してしまいます。車検で認められる発光色は 白色または淡黄色（平成18年以降のクルマは白のみ） に限られているため、カラーフィルムの施工は避けておくのがベターです。

光の屈折率に影響するフィルム

透明なフィルムであっても安心できるわけではありません。光の屈折率が変化するタイプのフィルムを貼ると、エルボー点やカットオフラインがぼやけたり乱れたりします。規定が満たされないと、車検で不合格になりやすくなります。

フィルムの経年劣化は車検に影響する

ヘッドライトフィルムは経年によって徐々に劣化していきます。それが原因でライトの機能が損なわれることも珍しくありません。場合によっては車検で不合格になることもあります。ここではフィルムの劣化が車検にどう影響するのかを解説します。

フィルムのくすみやヘッドライトの黄ばみ

フィルムを貼った直後は透明度が高くても、時間の経過とともにくすんだり、黄ばんだりしていきます。劣化が進むと光量や光の透過率が低下し、車検に通らなくなることもあります。また、フィルムを貼っていなくても、ライト自体が黄ばんでいると車検不合格になりやすくなります。ライトの黄ばみが目立つようなら、カーディテーリング店などで磨いてもらいましょう。

ライトにプロテクションフィルムを貼っている方も注意が必要です。メーカーによっては、1年前後で黄ばみや劣化が発生する製品もあります。その点、XPEL社のプロテクションフィルムは黄ばみに対する10年保証付きで、長期にわたり透明感を維持できます。

車検での厳密なチェック体制

車検ではライトの状態を目視だけで判断するわけではありません。光度測定器やテスターなどを用いて光量や色みなどを正確に検査するため、基準を下回れば不合格となります。紫外線がヘッドライト表面の劣化を招くので、劣化を抑えたい人は日ごろから屋内での駐車を心がけましょう。

車検に通るフィルム選びのポイント

ヘッドライトフィルムは製品によって性能が大きく異なり、選び方を誤ると「光量不足」や「発光色の変化」などが原因で車検に通らなくなるリスクがあります。特にスモーク系やカラー系のフィルムは基準を満たしにくいため気をつけましょう。ここでは、安全性を確保しつつ車検にも影響が少ないフィルム選びのポイントを解説します。

保護目的のプロテクションフィルムを選ぶ

車検を通したいのであれば、ドレスアップ目的のスモーク・カラー系ではなく、保護性能を重視したプロテクションフィルムを選ぶのがおすすめです。黄ばみ防止やUVカットなどの機能がついたプロテクションフィルムもあり、ライトの光量を損なわずに透明性を維持できます。また、施工前と変わらずに洗車できる点も魅力です。

ヘッドライトフィルムの規格を確認

フィルムを選ぶ際は、製品の性能を保証する規格の有無をチェックしましょう。JIS規格やEマークなどの表記がある製品は、品質と安全性が裏付けられています。施工後は陸運局や整備工場などで保安基準に反していないか確認するのもおすすめです。これはヘッドライトフィルムに限らず、カスタムパーツを取り付ける際に気をつけておきたいポイントです。

専門店でプロに任せる

ヘッドライトフィルムのDIY施工は、貼りムラや気泡、シワが発生しやすいため、車検で不利になる場合があります。特にポルシェやMINIのような卵型のライトは施工の難易度が高く、初心者が手を出すと失敗する可能性が高くなります。専門店に依頼すれば、車検に影響のない適切なフィルムを貼り付けてくれるので安心です。

万が一不合格になった場合の対処法と相談先

ヘッドライトフィルムが原因で車検に通らなかった場合でも、適切に対処すれば大きな問題にはなりません。車検当日であれば追加費用なしで再検査できます。

不合格時の対応と再検査の流れ

ヘッドライトフィルムが原因で光量不足や発光色の不適合を指摘された場合は、フィルムを一度剥がして基準に適合させてから、再検査を受ける必要があります。同日であれば、最大3回まで検査を無料で受けられます。午前中に初回の検査を受けておけば、万が一不合格になっても、焦ることなく再検査に備えられるでしょう。

施工前に専門家へ相談することがおすすめ

車検に通らないリスクを避けるためには、フィルムを貼る前に専門家によく相談しましょう。特にスモーク系やカラー系など、発光色や光量に影響しやすい製品は、事前に車検に対応かどうかを確認しておくことが重要です。

ヘッドライトフィルムの施工ならスマート・カーサービス

ヘッドライトフィルムはカスタマイズの定番です。しかし、フィルムの特性を理解していないと、くすみや黄ばみが進行し、車検で不合格になる可能性が高まります。プロテクションフィルムであれば高い保護機能に加え、ヘッドライトの劣化を軽減できます。プロテクションフィルムの施工をご検討中の方は、専門技術と品質に定評のあるスマート・カーサービスにぜひご相談ください。