はじめに

愛車の美しさを長く保ちたい。

そんな願いを叶えるために活躍するのがプロテクションフィルムです。飛び石や紫外線、擦り傷といった外的要因から塗装を保護し、車の価値を守ることができます。しかし、どんなに高性能なフィルムでも、適切なメンテナンスを行わなければ本来の効果を発揮することはできません。

本記事では、プロテクションフィルムを貼った車を対象に、日常的なメンテナンス方法や注意点を詳しく解説します。初心者から経験者まで、どなたでも実践しやすい内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。

プロテクションフィルムとは？

プロテクションフィルムとは、車のボディや塗装を外的ダメージから守るために貼る透明な保護フィルムのことです。このフィルムは、主にポリウレタンやPVC素材で作られており、柔軟性と耐久性に優れています。

飛び石や擦り傷、虫や鳥のフン、紫外線による劣化から塗装を保護する役割を果たします。また、フィルムの自己修復機能により、小さな擦り傷は時間とともに消えるものもあります。

さらに、施工後の見た目を損なわない透明性の高さが特徴で、高級車や新車の保護に特に人気です。プロテクションフィルムは、車の外観を長期間美しく保つだけでなく、車両の価値を維持する効果もあります。

プロテクションフィルムとコーティングの違いは？

プロテクションフィルムとコーティングの主な違いは、保護の仕組みと目的です。プロテクションフィルムは物理的な衝撃や擦り傷から塗装を守る透明な保護フィルムで、小石や飛び石、擦り傷に対して強力なバリアを提供します。

一方、コーティングは塗装表面に薄い保護膜を形成し、撥水性や防汚性を向上させることで、汚れや紫外線から車を守ります。フィルムは傷や飛び石に強い一方、コーティングは艶や塗装の保護を重視しています。

プロテクションフィルムの耐用年数と耐久性

プロテクションフィルムの耐用年数は、使用するメーカーや製品によって異なります。

例えば、スマートカーサービスが採用している「XPEL（エクスペル）」社のフィルムは、最大10年間の保証が付いており、長期間にわたって車の塗装を保護する性能が期待できます。しかし、メーカーや施工業者によっては、耐用年数を2〜3年程度と公称している場合もあるため、選ぶ際には十分な確認が必要です。使っているプロテクションフィルムはどこのブランドのものなのかをしっかりとチェックしておくことが大切です。

プロテクションフィルムの耐久性についてですが、非常に耐久性に優れたアイテムで愛車の表面をさまざまな外的要因から守ります。

例えば雹（ひょう）が降った際でもプロテクションフィルムを貼っていれば被害を防ぐとこができます。
またスプレーでの落書きなどがシンナーなどで落とすこともできますし、軽い擦り傷程度なら自己補修機能により、フィルム表面にできた小さな傷は、約60度以上の熱を加えると自然に修復します。太陽光や温水を使うことでフィルムが元通りになり、今までと同じ外観を保つことが可能です。

プロテクションフィルムのメンテナンスの基本

プロテクションフィルムを長持ちさせ、車の美しさを保つためには、日常のメンテナンスが欠かせません。基本的なメンテナンスのポイントを詳しく説明します。

1つめは洗車の頻度について。

プロテクションフィルムを貼った車は洗車などは不要かと思う人も多いかと思いますが、フィルムを施工した車であっても、定期的な洗車が必要になってきます。汚れが目立つ場合に洗車をすることで効果を維持することができます。特に、鳥のフンや虫の死骸などが付着した場合は、早めに取り除くことが重要です。

プロテクションフィルムを傷つけないためには、あまり強い洗剤を使うのはお勧めできません。強アルカリ性や強酸性のケミカルを使用すると、フィルム自体を傷つけ劣化させてしまう原因になってしまいます。もし車がそこまで汚れていないのであれば、付着した砂やホコリをしっかり落とす目的で、水洗いをするのがおすすめです。 また中性カーシャンプーを使用するのもおすすめです。手洗い洗車を行う際は研磨剤が含まれたブラシや硬いスポンジは避けるのが鉄則です。

手洗い洗車がおすすめですが、もちろん洗車機を使うことも可能なのが嬉しいポイント。ただし注意点があります。高圧洗浄機やエアダスターなどフィルム面に強い負荷がピンポイントでかかるものは剥離に原因になりかねないので注意が必要です。フィルムの端や接合部分に当たると剥がれてしまうこともあります。

メンテナンスのポイント

日本は寒暖の差が激しい気候です。季節ごとにメンテナンスのポイントが異なるため、注意すべきポイントをまとめました。

春は黄砂や花粉が飛びやすい季節です。これらが付着すると塗装やフィルムに傷がついたり劣化させる原因となるため、できれば頻繁な洗車を心がけましょう。もちろん紫外線には強いですが、フィルムの効果をより長く維持するためにも日陰での保管がおすすめです。

また冬場は場所によって融雪剤や凍結防止剤がフィルムにダメージを与えることがあります。こまめにこれらを洗い流すことが大切です。もし仮に氷や霜がフィルムに付着した場合、力を入れて剥がすのはNGです。最悪の場合はプロテクションフィルムが剥離してしまうことがありますので、ぬるま湯を使って丁寧に溶かしてください。

コーティングとの併用

プロテクションフィルムの効果をさらに引き出す方法として、コーティングを併用するケースが増えています。

フィルムの上にコーティングを施工することは可能ですが、その際には必ずプロテクションフィルム専用に設計されたコーティング剤を使用する必要があります。そのため、プロテクションフィルムの施工と同時にコーティングの依頼を行うと、よりスムーズかつ効果的です。

フィルムの上にコーティングを施すことで、汚れの付着を大幅に抑えられるほか、疎水性が向上するため、メンテナンスの手間も減少します。

ちなみに疎水性とは、水を弾く性質を持つ撥水とは少し異なり、水をまとめて流す親水性の特性も併せ持っています。これにより、水滴がフィルム表面を滑るように流れ落ち、美しさを保ちながら汚れを防ぐ効果を発揮します。

メンテナンスをプロに任せるべきケース

定期的な洗車や保管方法など、プロテクションフィルムのメンテナンスを自分で行うのが難しい場合、専門業者に任せるのも賢い選択の1つです。フィルムが剥がれたり、傷がついている場合や黄ばみやシミが広範囲に広がっている場合。再施工が必要な場合などは、できればプロの業者に見てもらいメンテナンスをしてもらうのが安心です。

専門業者にまかせるメリットとしては、プロ専用の洗浄剤や器具を使用するため、高い仕上がりが期待でき美しさを維持できる点。さらに施工した業者に持ち込めば使っているプロテクションフィルムを熟知しているので、最適なメンテナンスを提供してくれることが多いです。

また長年の経験からフィルムやコーティングの状態を詳しくチェックし、適切なアドバイスを受けられることも。費用感としてはメンテナンスの費用は車種やフィルムの状態により異なりますが、長期的な外観維持を考えると、コストパフォーマンスは十分に高いと言えるでしょう。

プロテクションフィルムのメンテナンスを怠った場合

メンテナンスを怠ると、プロテクションフィルムはその性能を十分に発揮できなくなります。

汚れや紫外線が原因でフィルムが劣化し黄ばみや偏食といったことが起こりえます。また接着部分が弱くなり剥がれてしまうなんてことも。さらに放置していたシミや汚れが固着し、取りにくくなってしまうことも可能性としてはあります。こういったことを防ぐためにも、ご自身でできる定期的なケアを怠らないようにしましょう。

よくある質問

プロテクションフィルムのメンテナンスに関して、特によく寄せられる質問をまとめました。

Q1. 市販の撥水剤は使える？

A. 使用できる場合と使用できない場合があります。水性で、洗車時に簡単に洗い流せる犠牲被膜であれば使用可能です。ただし、硬化型のガラスコーティング剤は黄ばみの原因となり、10年保証も無効となる可能性があるため、使用はお控えいただくようにお伝えしています。

• 使用可能な製品：水性で簡単に洗い流せる犠牲被膜タイプの撥水剤（例：シュアラスターなど）。これらはフィルムに優しいため、安心して使えます。
• 避けるべき製品：硬化型ガラスコーティング剤。黄ばみの原因となる可能性があり、保証が無効になる場合があります。

Q2. カーカバーは使っていい？

A. 屋外保管のお客様から特に多く寄せられる質問です。紫外線がプロテクションフィルムや塗装に悪影響を与えると考え、カーカバーを検討される方がいらっしゃいます。使用可能ですが、いくつかの注意点があります。

カーカバーの使用自体は問題ありません。ただし、カバーの内側に汚れが溜まると、フィルムに深い傷（熱可塑性エラストマー層を超える傷）が入るリスクがあるため、定期的にカバーを交換することをおすすめしています。

カバーの内側に砂やホコリが溜まると、フィルムに傷をつける可能性があります。ですのでカーカバーを定期的に清掃し、汚れを取り除いてから使用しましょう。カーカバーにはさまざまな種類がありますが、当社では特定の製品を推奨していません。購入の際は、内側が柔らかい素材のものを選ぶと良いでしょう。

まとめ

プロテクションフィルムのメンテナンスは、車の美しさと価値を守るために欠かせない作業です。正しい方法で洗車を行い、フィルムを定期的にチェックすることで、その効果を長く保つことができます。

また、コーティングとの併用によって、さらに高い保護性能を実現することが可能です。DIYでのケアが難しい場合は、迷わず専門業者に相談しましょう。この記事を参考に、愛車を最高の状態に保ってください。